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トルコリラ今後の見通し2017/11 | 為替・経済の見通し予想

2017年11月04日 21:31

トルコ





今回は政策金利が8%と、高金利通貨としてFXでも人気のトルコリラについて、2017年11月時点での最新情報に基づいて、今後の見通しを予想します。(11/3の下落について、その理由を含め追記)





以下のような順番で書いていきたいと思います。

  • トルコ経済の基本

  • トルコリラという通貨の特徴

  • これまでのトルコリラの為替推移とその理由の分析

  • トルコリラ、今後の為替見通し







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    トルコ経済の基本







    トルコリラは名前の通りトルコの通貨なのですが、トルコという国は、ヨーロッパとアジアを繋ぐ位置に存在しているため歴史的にも重要な役割を持った国で、その首都イスタンブール(旧コンスタンティノープル)は歴史的には東ローマ帝国、オスマン帝国という超大国の首都でした。





    今ではトルコに対して「大国」というイメージを持つ人はあまりいないと思いますが、ヨーロッパとアジアを繋ぐ地理的重要性は現代でも変わらず、また、トルコは労働力人口も多いことから、「欧州の工場」として経済成長が続いており、これからも経済成長が期待されております。





    以下、トルコの経済成長率のチャートを示しますが、リーマンショックの影響があった2009年を除けば、常にプラス成長で、その成長幅も大きなものとなっております。





    TRK growth rate






    現在のトルコの産業構成としてはサービス業が57.7%、工業が24.1%と、サービス業(その中でも観光業に強みを持っています)や工業を中心としたいわゆる「先進国型」の経済で、主な輸出品目も自動車が一番多くて11.5%となっております。(参照:トルコ基礎データ | 外務省)





    また、人口が8,000万人、若年人口も非常に多く今後も伸びていき、2018年にはドイツの人口を抜くことが予想され、その場合、ヨーロッパ最大の人口大国となることが予想されております。





    こうした環境の中、トルコ政府も2023年に世界10位の経済大国となることを目指しており、先ほど書いたような人口の多さ、及び、地理的にもアジアとヨーロッパをつなぐ位置にあることから、「欧州の工場」として、海外からの企業誘致を積極的に行っており、それが功を奏して、経済成長しております。






    このように、トルコはアジアとヨーロッパを繋ぐという地理的優位、増加している内需や労働力といった要因を活かして中長期的な成長が期待されている国ですが、その一方で、トルコ経済にはリスクもあります。





    まずは、これは「トルコだから」というわけではなくどこの国でもリスク要素になることですが、アメリカや中国、欧米、日本等の先進国で経済が不調になると、そうした先進国への輸出であったり、あるいはそうした国からの外資の流入が減少し、経済に悪影響を及ぼします。





    また、それ以外にもトルコ固有のリスク要素もあり、それは「治安情勢」「エルドアン大統領による独裁状態」「西欧、アメリカとの関係悪化」というものがあります。





    はじめの治安情勢については、トルコはシリアやイラクといった紛争地帯と隣接しており、また、クルド人との民族対立もあり、テロが頻発する等、治安面で不安視されております。また、次のエルドアン大統領とも関係しているのですが、エルドアン大統領というある種独裁的な権力に対しての反発も根強くあり、昨年7月にはクーデター未遂が起こりました。






    こうしたリスクが大きくなると、トルコの内需を支え、資金流入面でも大きな影響力を持つ外資系企業や工場等が移転する危険もあるため、トルコ経済にとってリスク要素となります。





    また、政治体制としては、エルドアン大統領の独裁状態にあります。




    エルドアン
    (エルドアン大統領の演説中の画像。出典はラジオ「スプートニク」





    このエルドアン大統領の特徴として、

  • 外資系企業の誘致・インフラの整備に積極的

  • 対外的には強硬派(領空侵犯してきたロシアの戦闘機を撃墜するほど)

  • 民衆からの人気は高い一方、インテリ層からは嫌われている

  • トルコ中央銀行に利下げ圧力をかける

  • ただし最近ではトルコリラ安に懸念を持ち始め、為替介入をちらつかせたこともある


  • といったものがあります。





    そのため、トルコリラの為替相場としては、このエルドアン大統領の動向にも大きく左右されます(これまでの動きや今後の見通し予想は後述します)




    また、最近ではアメリカやヨーロッパとの関係悪化についても不安視されております。





    後で詳しく書きますが、10月9日にはアメリカとトルコの間でビザの発給を相互に停止し、さらに10月19日には欧州連合首脳会議ではトルコにおける人権問題(昨年のクーデター後の反政権派の逮捕・処刑等の弾圧)から、トルコへの資金援助について削減が検討されるなど、トルコと欧米との関係が悪化しております。





    トルコの経済は、欧米への輸出、観光といったものや、また、国内にもヨーロッパの会社が人件費の安いトルコで生産するための工場が多いことから、欧米との関係悪化はトルコ経済への懸念材料となります。





    以上のように、トルコ経済は長期的には成長が期待され、実際に今でも経済成長は続けておりプラス要素がある一方で、治安や政治面での不透明さというリスクもあるというような状態です。





    トルコリラという通貨の特徴







    トルコリラという通貨自体の特徴としては、その非常に高い金利があげられ、政策金利はなんと8.0%にもなっております。






    他の高金利通貨では、南アフリカランドで6.75%、NZドルで1.75%、豪ドルで1.5%であることを考えると、非常に高い水準であることがわかります。





    そのためスワップポイントも非常に高く、高いところでは1万通貨持っていれば1日90円というところもあります。これはこの水準が続けば年間で32,850円にも相当し、今29円程度なので、この水準が続くと、レバレッジ1倍でも収益率で換算して約11.4%にもなります。また、他の考え方をすると、スワップで年間32,850円ということは、トルコリラが1年後3円下がっても収支はほぼトントンということで、為替がよほどの落ち方をしない限り、プラス収支をとれるという魅力もあります。





    こうしたトルコリラはその金利の高さと、短期的にはリスクはあっても中長期的な成長が期待できるということから、長期保有を前提に投資する場合に人気の高い通貨となっております。






    なお、トルコリラをFXで取引する場合のおすすめの投資方法や、為替リスクをほぼ0に抑えたうえでスワップをとる方法、さらにはどこで取引をするのが良いかという点について、トルコリラFX取引、おすすめ投資方法とFX業者2017 | トルコリラFX比較で書いておりますので、よかったらそちらもご覧ください。






    これまでのトルコリラの為替推移とその理由の分析








    では、次に、これまでトルコリラがどういう動きをしてきたのか、というのを、チャートも使いながら説明したいと思います。まずは、ここ2年間のチャートを見てみましょう。





    TRY chart1711_0






    まずこのチャートでは映っていないのですが、2015年7月から下落し、9月から11月の終わりまで戻すも、そこから2016年1月にかけて下落し、その後も全体的に下落トレンドにあり、ただし2017年に入ると底を打ちレンジ相場となっております。





    最近ではトルコリラの下落が目立ちますが、このように長いスパンで見ると、まだレンジを超えた動きではなく、今後どうなるか・・・・という状態です。





    2015年7月から下落した理由は、中国経済への懸念の高まりと、政治に対しての不透明性の高まりが原因でした。





    中国経済という点では、中国の株価である上海総合指数は、2015年6月から下落基調でありました。世界最大の消費国である中国経済が悪化すると、世界的にリスクオフが起こり、円のような安全資産は買われ、トルコリラのような「ハイリスク・ハイリターン」な通貨は売られることとなります。





    また、トルコ国内の事情としては、6月に実施した総選挙の結果、今の与党であるAKPの議席が過半数割れを起こし、再選挙が行われることになり、政治的に混乱が起こっていたというように、リスクオフの動きがある中で、さらにトルコ国内のごたごたもあり、トルコリラは下落することとなりました。





    その後、中国株価については、9月に底打ちして戻す様子を見せ、また、総選挙についても、11月1日に再選挙が行われ、与党が単独過半数の議席を無事獲得したこともあり、2015年の9月から11月終わりくらいまでは底打ちしたような動きを見せておりました。





    しかし、11月後半から2016年1月にかけて、再び大きく下落します。






    これはなぜ起こったのかというと、大きく2つあり、一つは原油安による世界的なリスクオフ、もう一つは治安情勢への不安があげられます。





    まず原油安については、今1バレル30ドル台で、2014年まで100ドル超えがあたりまえで、50ドル台になったときに「さすがに下がりすぎだ」と言われていた中で、その安値をさらに更新してしまったという状態です。





    原油価格というのは、インフレ率と同じで、「上がりすぎても下がりすぎても経済に悪影響」を及ぼすものであり、この時の原油安は上で書いたように「下がりすぎ」であったため、世界経済への懸念が強まり、リスクオフのトルコリラ売り・円買いが起こりました。






    ちなみに、何故上がりすぎても下がりすぎても悪影響になるかというと、上がりすぎると先進国のような資源を必要とする国でコスト高になり経済に悪影響となる、逆に下がりすぎると、今度は中東等の産油国経済に悪影響を及ぼし、また、資源獲得のための投資が滞ることもあり、いずれにせよ「行き過ぎると経済に悪影響」となるためです。






    また、もう一つトルコにとって大きな影響を与えたものとして、治安情勢があげられます。トルコはイスラム国の活動領域(シリアやイラク)と近接しており、イスラム国についての情勢が悪化したことで、トルコリラは売られました。しかも12がつにはそれに加えさらに、ロシアの戦闘機がトルコ領以内に入ったことから撃墜され、ロシアとの関係が一時大きく悪化したということもありました(ロシアの主張としては領域外であるというもので、最終的にはトルコ側が謝罪することで解決しました)






    また、1月に入るとさらにトルコリラは大きく下落し、年始には41.2円前後であった水準が、一時38円前後と、3円近く下落しました。これは、年始から上海総合指数が大幅に下落したこと、サウジアラビアとイランの国交断絶と、それに伴う中東情勢への懸念の増加といったこと等で、リスクオフの動きになったこと、および、「トルコで景気回復のために利下げをするのではないか」という観測が流れたことが原因です。






    まず上海総合指数については、年始にいきなり上海総合指数が3,539から3,296まで大幅に下落(6.8%の下落。中国株全体では7%超の下落によって、サーキットブレーカー(一定以上下落した時に売買が停止する制度)が発動しました)というように、大波乱の幕開けとなりました。






    これについては、PMI(製造業購買担当者景気指数)という景況を示す指数で、改善を見込んでいた市場予想に反して悪化し、3カ月ぶりの低水準となったことで、中国の景気に対して悲観的な見込みができたなか、1月8日には上場企業の大株主の株式売却の規制(8月に株価が暴落した時、株を売るのを規制するという大掛かりな手法で下落をとめておりました)が解除されることもあり、大幅に下落しました。






    また、サウジアラビアとイランの国交断絶という中東でのリスクが大きく高まることも起こったため、世界的にリスクオフの流れになり、その中でも特に中東に近いトルコリラは大きく売られました。





    実際に、どの通貨に対しても円高になってはいるのですが、その度合いとして、サウジアラビアの国交断絶発表直後の1/6時点において、例えば米ドル120.3円→118.7円と1.3%減、ユーロは130.6円→127.4円と2.5%減、豪ドルは87.5円→84.4円と3.5%減、南アフリカランドも7.78円→7.54円と3.0%減な中、トルコリラは41.2円→39.5円と4.1%減というように、トルコは特に中東情勢の悪化の影響を受けやすいことから、大きく下落しました。





    また、エルドアン大統領が景気高揚のために利下げを中銀に要求したことも、「トルコが利下げを行うのではないか」という観測につながり、それも原因として一段と安値を付けました。





    しかし、1/19発表の政策金利で、金利の据え置きが決定され、さらにその声明の中で「インフレの抑制が重要であり、そのために慎重に金融政策を行っていく」ということで、利下げどころかむしろ利上げを示唆(インフレを抑制するためには利上げを行うのが金融の世界では定石であるため)し、そのことによって、1月20日を底に、トルコリラは若干戻す動きを見せました。





    さらに、1/29には、ご存じのとおり日銀がマイナス金利導入も含むさらなる金融緩和を行うことを決定したことにより、円安が進み(マイナス金利ということは、原理原則論としては円を買えば利息がもらえるどころかむしろ払わなければならず、そのため円売りが進みます)、それも追い風となってトルコリラは40円台を回復しました。ただし、マイナス金利の効果については、かなり一時的なものにすぎず、結局元の水準に戻ってしまいました。





    その後、しばらくはレンジ相場だったのですが、5/5にトルコの首相のダウトオール首相が辞任したことで、トルコリラは大きく下落しました。





    何故この人が辞任するとトルコリラが下落するかというと、この辞任劇が、エルドアン大統領からの辞任圧力に負けてのもので、エルドアン大統領は政策金利引き下げ派であることから、トルコで利下げのリスクが高まったという観測が起こったためです。





    エルドアン大統領が大統領権限のさらなる強化をもくろんでいたところ、それをとめていたのがダウトオール首相だったのですが、その人が結局政治圧力に負けて辞任したことにより、エルドアン大統領の権限がさらに強化され、最終的にはトルコリラの金利引き下げにつながるのではないか・・・・・ということになり、トルコリラは売られました。






    なお、後任はユルドゥルム首相でしたが、この人は完全にエルドアン大統領派の人間で、「大統領権限を強化するための憲法改正」を主張し、必要とあれば議会解散からの総選挙も辞さない、という人で、実際に2016年12月に憲法改正が国会に提案され、2017年1月には承認されました。





    こうした中、トルコリラについては警戒感からあまり手が出されず、動きが小さかったのですが、6/24にはご存知の通りイギリスのEU離脱の国民投票で離脱派勝利による全面的な円高(リスクオフ)、その後、ポンドやユーロを除いた通貨については、ある程度元の水準に戻ったのですが、トルコリラについては、7/15に起きたクーデター未遂事件によって、再び大きく下落し、こうした政治的混乱の影響もあって、下落基調が続きました。





    11月にはアメリカの大統領選挙でトランプ氏が勝利したことによるリスクオフの円買いで、選挙当日の11月9日(日本時間)では下落しましたが、ご存知のようにその下落はすぐに戻しました。ただ、為替では円安傾向がどの通貨に対しても続く中、トルコリラについてはほぼ横ばいというように、トルコについては、政治の不透明さから上昇基調とまでは言えない状態が続きました。直近1年のチャートを見てみましょう。




    TRY chart1711_1






    その後、2017年年始に大きく下落しました。これは、政治の不透明さやエルドアン大統領の利下げ圧力、中東情勢の不安といったものに加え、トルコの経常赤字が大きくなるのではないか、との懸念によるものでした。





    その後もトルコについては、テロが断続的に発生する治安情勢や、政治的不透明性の高さから下落し、4月18日には29.5円と史上最安値を付けましたが、トルコ中銀が通貨防衛を目的に流動性引き締め措置を取ったことや、また、政治的にも改憲案が成立し、エルドアン大統領の権限が強化されたことで、「良くも悪くも不透明性が減少した」ということで、下げ止まっておりましたが、10/9と23、さらに11/3にも急落しました。直近半年のチャートを見てみましょう。





    TRY chart1711_2






    トルコリラが最安値を付けたことにより、エルドアン大統領も「通貨防衛」の視点を強めており、為替介入をちらつかせたこともあり、また、トルコ中銀も通貨防衛策を取っているというように、トルコの金融政策として、現在は「通貨安を避ける」という方向性で一致しております。




    しかし、10/9に一時的に急落し、その後戻したものの、23日以降再び下落し、11/3にもお大きく下落しました。




    まず10/9の一時的急落については、トルコとアメリカで互いにビザの発給を停止し、関係が悪化したことが原因でした。これについては、簡単に整理すると



  • トルコが米総領事館の職員(トルコにいるトルコ人)をクーデターに関与した容疑で逮捕

  • アメリカ大使館がそれに反発してトルコ国民へのビザ発給を停止

  • トルコがそれへの対抗策でアメリカ国民へのビザ発給を停止



  • ということです。




    これについては、アメリカとトルコの関係が悪化することによりIS掃討作戦にも悪影響を及ぼすのではないかと懸念されたことや、新興国通貨にはよくある「ストップ売りを巻き込んで売りが売りを呼ぶ状態」になった結果として、一時的に急落しました。




    アメリカとのビザの問題については、その後は完全に元の水準というわけではありませんが、30円台を回復し、また、このトルコとアメリカの関係についても、11日にはトルコとアメリカのティラーソン米国務長官とトルコのチャブシオール外相が電話会談を行い、トルコのシムシェキ副首相は「近いうちに解決の見通し」を示しており(産経ニュースロイター)、その後両国の代表団が会談を行い、正常化に向かっているとの見方を示しております。(トルコラジオ・テレビ協会2017/10/19)





    また、IS掃討作戦についても、アメリカのマティス長官が、トルコとアメリカの間にあるビザ問題は二国間の軍事関係に影響は及ばず、トルコと密接に活動を続けていくと述べており(トルコ・ラジオ・テレビ協会)、この問題については今後少しずつ解決に向かっていくと考えられます。





    しかし、23日以降再びトルコリラは下落し、ここ数日は30円を割ることも増えてきました。




    これについては、まず19日にはトルコへの資金援助について、EU首脳会議でドイツのメルケル首相が「トルコの人権問題は受け入れがたい」「資金援助の削減を強く求める」と発言し、削減の検討が決定されました。





    トルコの人権問題というのは、昨年のクーデター後トルコでは非常事態宣言が発令され、クーデターとの関連ということで反エルドアン派に対して逮捕・処刑等の弾圧が行われていることです。例えば、最近では国際人権団体であるアムネスティ・インターナショナルの幹部がクーデターとの関連の容疑で逮捕されることもありました(BBC 2017/10/25)





    こうした中で、ドイツ政府はドイツ復興金融公庫、欧州投資銀行、欧州復興開発銀行に対して、正式な凍結は行っていないものの、資金拠出に厳しい制限を課していると報道されました(Bloomberg 2017/10/26





    こうしたトルコとドイツの関係悪化を嫌って、市場ではトルコリラが売られ、11/3にも大きく下落し、29円台前半まで落ちました。




    11/3には、トルコのインフレ率が予想+11.50% であったのが結果+11.90%、さらにトルコ中銀も年末のインフレ率の見通8.7%から9.8%に引き上げたことで、市場はトルコの経済への見通し不透明感から下落しました(NASDAC




    これまでは為替相場はトルコのインフレ率については大きな反応はなく、あったとしても金融引き締め(=金利引き上げ)への期待からポジティブな影響を与えることが多かったのですが、今回はドイツとの関係悪化という前提があったことや、S&Pの格付け見通し発表を控えていたこともあり、その中で市場が「売る材料を探す」状態になっていたことから、ネガティブな反応となったものだと考えられます。





    なお、そのS&Pの格付けは市場クローズ後に発表され、トルコは据え置きとなりました。




    その中で、トルコ経済については、輸出の増加や、比較的安価な労働力とインフラ整備が外国からの直接投資を誘引するとして、肯定的に評価する一方で、インフレ率について「よくなるようであれば安定的に、悪化するようであれば下方に修正する」(出典:ENERGY News Terminal)としております。





    以上がトルコリラのこれまでの為替推移の分析でした。では、次に今後どうなるかという見通しを予想したいと思います。





    トルコリラ、今後の為替見通し







    それでは、今後トルコリラの為替の見通しがどうなるか、予想したいと思います。





    結論から書くと、短中期的にはレンジ相場か若干の下落相場、中長期的にはいくつかリスクがあり25円程度まで下げる可能性はあるが、最終的には上昇方向ということで良いかと思います。





    その根拠を書いていきたいと思います。これまでの為替推移の分析でも書いたように、今後も注目ポイントは、やはり「中国経済」「トルコ国内の政治状況」「トルコと欧米の関係」「世界的なリスクオフ(Brexitの影響やトランプ大統領の行動もここに含む)」の3点が主な要因となると考えられます。





    まず、中国経済については、中国株価(上海総合指数)・経済の今後の見通し2017年で詳しく書いているのですが、結論を要約すると、中国経済は好調だとみられているものの、再び暴落するリスクはあると考えております。






    その理由としては、中国経済は現在不動産業にかなり頼っているが、それはバブルである可能性が高いこと、買い支え等の人為的な要素は平時には耐えられてもこうしたショック時には耐えきれないといったことがあげられます。





    次のトルコ国内の政局については、4/16の国民投票の結果、憲法改正が承認されたことで、エルドアン大統領の権限が強化され、ある意味で「安定」してきつつあります。





    従来であればエルドアン大統領の権限強化は「中央銀行への利下げ要求の高まり」「対外強硬策によるリスク」等から市場から敬遠されることでしたが、エルドアン大統領も今の為替水準はさすがにトルコリラ安が進みすぎたという認識を持っており、最近では「必要であればトルコリラ買い介入を行う」ということや、「貿易でトルコリラを使って欲しい(貿易のためトルコリラが買われて上げ材料となる)」といった発言もあり、エルドアン大統領の権限強化=トルコリラ安、という、過去の図式は変わってきており、実際に国民投票後トルコリラは若干上昇しました。





    次のトルコと欧米の関係という点について、まずアメリカとの関係については、上でも書いたように正常化の方向性であり、また、経済に直接的な影響という点でもそこまで大きくないことが考えられるため、短期的にはともかく、中長期的にそこまで大きな影響を与えないと考えられます。





    次のドイツをはじめとしたヨーロッパとの関係については、資金拠出が止まるということにとどまらず今後も関係が悪化する場合、トルコの経済がヨーロッパとの関係によって成り立つ部分が多い(例えば輸出の最大の相手先はドイツ)ことから、トルコリラにとっても下落要因となります。





    これについて、11/4現在ではトルコもドイツを非難し返しており、解決のめどは今のところ立っておらず、今後どうなるか注目する必要があります。





    最後の世界的なリスクオフについては、これは「戦争」や「原油の暴落」「イギリスのEU離脱の影響がどう波及していくか」「トランプ大統領の政策」など、正直「起こってみないとわからない」ものであり何とも言えませんが、ただ、最近の世界情勢の不安定さを考えると、こうしたリスクによって急落するリスクに備える必要はあると考えられます。





    まず最近ミサイル発射や核実験を行っている北朝鮮については、北朝鮮ミサイル発射からの戦争の可能性と被害想定、為替への影響で詳しく書いておりますが、要約すると「短期的に戦争になるリスクは大きくないが、中長期的にはリスクが存在する」というように考えております。






    そのため、短期的には逆張りでよいと思いますが、中長期的なリスクとしては認識しておくべきポイントだと思います。






    イギリスのEU離脱については、離脱交渉がついに開始しましたが、経済への実体的な打撃は「実際に離脱してみないと分からない(離脱するまではイギリスも従来通りの条件でEUとの交易や往来が可能)」上に、その影響もポジティブに予想する人もいれば、ネガティブに予想する人もいて、見通しは極めて難しい状態になっております。






    とはいえ、実際に離脱するまでにも、例えば「ハードランディングの可能性の高まり」「EU諸国で脱EUの機運が強まる」等あれば、そうした材料によって大きく乱高下する可能性はあります。





    トランプ大統領についても、様々な「暴走」や医療保険制度改革の失敗、ロシア疑惑等、マイナス要素が目立ち、支持率も36%まで低下したという報道もあり、「何もできないと市場から判断されてリスクオフ」「辞任に追い込まれる(ニクソンショックならぬトランプショック)」というリスクはあり、そうした際にはリスクオフで円高(=トルコリラ安)になる可能性があります。






    トランプ氏は、就任後、「メキシコの壁」「移民制限」「司法長官解任」等、「暴走」と考えられるような政策は多いものの、「減税」「公共投資」など、米国景気にとってプラスとなる政策が現実に実行されることとなれば、それはプラス要素にも働きえて、それが昨年末の円安の理由となっておりました(トルコリラについては、それ以上にトルコの政治的混乱が嫌われてそこまで上昇しませんでしたが)





    しかし、医療保険制度改革の法案については、共和党内での反対で法案提出が撤回されたというように、トランプ氏の政権運営能力にはかなり疑問符が付く状態となっており、それが3月下旬からの円高の理由の一つとなりました。





    これを話すと「何故アメリカの、しかもそこまで経済に大きな影響を与えそうもない法案で為替相場が動くの?」と言われることもあるのですが、これは医療保険制度がどうというより、「トランプ氏が重要法案を通す能力があるのか」という点で重要な政策で、それが共和党内での賛成を取り付けきれずに撤回というのは、率直に書くとかなり運営能力に疑問符が付くものであります。





    元々トランプ氏当選後ドル高・円安でほとんどの通貨に対しても円安になっていた理由は、トランプ氏の減税・公共投資といった公約が好感されてのものなので、それらが実現できない場合、リスクオフになると考えられますが、そうした政策は医療保険制度改革以上に反対派が根強いものであり、そうした中で実際にそれらの政策を実行できるかというと、かなり困難ではないかと考えられます。





    また、ロシア疑惑の影響もあり、トランプ氏への支持率が36%に低下したという報道もある(CNN)ように、トランプ氏の求心力は下がってきており、最近では減税案を発表したこともありましたが、こうした中で税制改革等も含めて本当に実施できるのかは、疑問符が付く状態となっております。





    このようなことから、トランプ大統領の財政支出や減税といった政策が実現できないとなった場合には、円高となり、トルコリラについても下落するリスクがあります。





    一方で、昔であれば注目ポイントであった日銀の追加緩和や米国の利上げといったことについては、一瞬影響を与えることはあるかと思いますが、おそらくすぐに戻すであろうと考えております。






    まず日銀の追加緩和については、元々限界説もあった中、最後の切り札としてマイナス金利の導入などをやったにも関わらず、むしろそれが「日銀の限界」を示してしまい、一瞬円安になったもののまた円高にすぐ戻したり、追加緩和をすると見込まれている中でそれを見送るなど、かなり緩和自体に限界が来ているのではないかと考えております。






    参議院選で自民党が圧勝した結果、さらに「アベノミクス」を強く推し進めるのではないかという期待で一瞬円が売られましたが、最近ではそうした効果についても疑問が呈され、やはり前回の追加緩和と同様に、あまり効果は長く続かないのではないかと考えております。





    アメリカの利上げについては、最近ではそこまで為替相場においてアメリカの利上げが材料にならなくなってきております。今月もFRBが利上げを決定しましたが、そこまで大きな影響を与えませんでした。





    これは、「中長期的にアメリカが利上げする」ということ自体は既に織り込み済みで、「いつ、どの程度行うか」という点が焦点になっているためで、今後どのくらい利上げが続くかという点が焦点になっているためです。





    そのため、「目の前で利上げがどうなったか」ということよりも、「雇用、消費、物価等、アメリカ経済の状況がどうか」という点で注目するべきで、目先の「利上げ観測」については、逆張り要素と考えてもよいと思っております(もちろんロスカットを入れる・取引単位を無理のない範囲にするというのは大前提です)





    なお、最近ではこうした指標が伸び悩んでいるため、年内の利上げについては慎重論が増えております。





    以上のように、短期的にはレンジ相場か欧州との関係悪化を嫌っての若干の下落が続くと考えられます。





    ただし、仮に25円まで下がっても、現在の31円からでは6円、スワップで1年弱でほぼトントンになるレベルであり、かつ、中長期的にはトルコ自体の持つ人口の多さや、中東と欧州をつなぐ位置にあるという地政学的な重要性があり、経済成長も続いているのは間違いないため、中長期的な成長は間違いなく、そうした意味で、短いスパンで売るか、中長期保有目的で買いを入れる、もしくは取引単位を大きくせず、安くなった時に買う、というナンピン戦略がおすすめとなります。こうした投資方法や、どこで取引すればいいのかという点については、トルコリラFX取引、おすすめ投資方法とFX業者2017 | トルコリラFX比較で書いておりますので、よかったらそちらもご覧ください。





    なお、今回の記事でも書いたように、トルコリラの動向を読むためには「中国経済」「アメリカの動向」「トルコと欧米の関係」「世界のリスクオフ」等、様々な要素が関係しており、こんなに色々な情報をどうやって集めたらいいのかと思われるかもしれませんが、それについては無料でFX関係の為替ニュースをリアルタイムに集める方法で解説しているので、よかったらそちらもご覧ください。





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