2023年04月20日 17:55

今回はシリコンバレー銀行破綻から始まった金融不安、その中での各国の利上げ停止観測、そして日銀の植田総裁就任等の最新動向等も踏まえて、相場全体の状況や、今後の見通し・投資戦略を解説したいと思います。
また政策金利について、個人的に注目している米、欧、豪、NZ、ポーランド、チェコ、ハンガリーについても現時点の最新の見通しをお伝えしようと思っています。
結論から言うと、以下の通りです。
以下、それぞれ具体的に解説していきます。
シリコンバレー銀行破綻・クレディスイス買収の解説と今後の見通し
まず今年の大きな事件であったシリコンバレー銀行破綻に始まり、クレディスイス買収まで至った「金融不安」について簡単な解説と今後の見通しを書きたいと思います。
事の発端となったシリコンバレー銀行破綻については、instagram投稿でかなり詳しく解説しているのですが、非常に単純化した図解としてはこんな感じです。

画像出典:私のInstagram投稿
Instagramでは、それ以外にも「そもそも何故利上げで債券価格が下がるのか」とか、「その後どうなると当時考えていたのか、その根拠は何か」といった辺りも解説しているので、興味があればぜひこちらもご覧ください(そしてできればフォローもお願いしますw)
Instagramアカウント:@kawaselab
このシリコンバレー銀行破綻やその後のシグネチャー銀行破綻については、instagramでも書いたように、米当局が「預金保険でカバーされない部分も含めて、顧客の預金を全額保護」という力技によって、アメリカでは一旦こうした「取付騒動」の流れは収まりましたが、その後は特に欧州の銀行株が売られまくり、クレディスイスに至っては実質的に破綻からのUBSによる買収まで行きました。
クレディスイスについては、それ以前からアルケゴス破綻に伴う巨額損失等もあって「危ない」とは言われてはいたものの、シリコンバレー銀行破綻からの「取付騒動」の動きで顧客預金が流出し、その後筆頭株主のサウジ・ナショナル・バンクが追加投資を拒否したことでさらなる預金流出も招き・・・・という感じです。
元々経営不安が強かったクレディスイスの買収にはUBSもはじめは慎重であったものの、スイス政府が90億フラン(約1.3兆円)もの損失保証をしたことや、スイス中銀も1,000億フラン(約15兆円)もの流動性支援という意味不明なレベルの大盤振る舞いをし、さらには株価も時価総額の半分以下、しかも債務であるAT1債を無価値化するという凄まじい力技もあって、買収(というか実質的に救済)が成立しました。
このように、シリコンバレー銀行破綻からのクレディスイス買収劇までの流れは、米やスイスがかなりの力技で無理やりねじ伏せた結果として、相場は一旦落ち着きを取り戻しました。
その上で今後どうなるかについては、「とりあえず短期的な状況としては、政府や中銀の力技でねじ伏せる方向性が見えたので、取付騒動的な動きは収まり、一旦は解決。ただし、そうした公的機関による救済や、クレディスイス買収の際のAT1債無価値化といった「力技」が後々悪影響を及ぼす可能性もある」という感じかなと思っています。
実際に欧州の銀行株についても、下げ止まり傾向は見せています。
【STOXX Banks EURチャート】

そのため、短期的なトレード戦略としては、一旦この「金融不安」みたいな話は忘れて良いと思います(中長期でリスクがあるという点については、そんなものはいつでもあるものなので・・・・)
各国の利上げ停止の流れ(2023年4月時点)
しかしこの「金融不安問題」によって、「利上げを急速に進めすぎた」ことの副作用が意識されることとなり、各国中銀の利上げ停止について、ある種「大義名分」ができてきたことで、市場でも利上げ停止を織り込む動きがかなり増えてきました。
元々ある程度インフレのピークアウトは見えてきて、それでもまだ高いみたいな状況でどうするか、みたいな話だったので、どこかで「利上げ停止」の流れを作りたいのだろうなあとは思っていましたが、金融不安問題は、その大きなきっかけとなったのだろうと見ています。
2023年4月時点の見通しとして、
という感じです。
このように、今時点だと欧州の金利見通しが一番強く、その影響か最近は欧州通貨が全体的に強い傾向にあります。(米は元々かなりタカ派予想だったのが落ち着いてきた感じ、豪やNZは元々大体そんなものと思われていた)
そしてこの利上げ停止の流れの影響なのか、個人的に割と注目しているのが、相場のルールとして、元々「クロス円上昇と株価上昇が連動」だったのが、2022年の利上げモードの時は「クロス円上昇と株価下落が連動」と逆の動きになり、ただ今年に入るとまた「クロス円上昇と株価上昇が連動」に戻ってきたという点を注目しています。
【2022年からの長期の動き】

【2023年の動き】

これは去年までは「利上げによる通貨高・株安」という流れだったのが、それが一旦終わって、いつも通りの「リスクオフの時にはクロス円下落・株価下落」「リスクオンの時にはクロス円上昇・株価上昇」の流れに戻ってきたのだと考えています。
日本については、少なくとも「中銀政策として今より緩和する」ということはない中で、現状維持でも相対的に円高が進みやすい環境になり、もし今後「緩和からの出口戦略(国債やETF買入の停止・YCC修正・利上げ等)」に向かえばさらに円高になると考えられます。
日銀の動向と「本当に出口戦略が可能なのか」問題
では、この日銀の政策ですが、新総裁として植田総裁が就任されました。この就任時の記者会見では、全体的に黒田路線の継続方針を明確にし、
といった感じでした。この就任会見で大きく政策変更を示唆する声を期待する人はさすがに少なかったものの、ここまで「現状踏襲」を明確化されることで、クロス円は大きく売られました。
こうした植田総裁のコメントに対し、市場では「短期的には現状維持と言っているだけで、どこかのタイミングで急に政策変更をしてくるだろう」という観測もいまだに強いのが現状で、「とはいえ」というべきか「だからこそ」というべきか、いずれにせよ「ショートカバー」でクロス円が上がっているんだろうなあと思いながら見ています。
では、この「出口戦略」についてどう考えるかと言うと、個人的には「できるならやるだろうけど、本当にできるのか?と疑問に思っている」という感じです。
なので、クロス円の見通しとしては、「本当の短期ではショートカバーでとりあえず上目線だが、その後落ち着いて落ちてくるだろうし、しばらくはレンジないし円高方向で見ている。ただし、インフレが続く中でいつまでも出口戦略ができないとなると、急激な円安が進むリスクもある」という感じで見ています。
この「出口戦略ができるのか問題」については1月の見通し記事でも書きましたが、金融引き締めで国債金利が上がると、日本の国債残高の大きさから利払いに耐えきれず、だから引き締めができないとこれまでずっと言われてきたように、引き締めを本気でやることができない可能性もあります。
日本の政府債務残高対GDP比率は先進国の中で異常に高い水準にあり、ただその中でも「対外純債権があるから大丈夫」とか、「結局国債は国内で消化されているから大丈夫」とか「資産が多く、増税余地もあるから大丈夫」とか、色々な説もあり、これまでは「まあとりあえず大丈夫でしょう」みたいな流れになっていましたが、こうした環境下で国債利回り上昇で債務負担感が強まった上でどうなるかは不明です。
実は日本の政策金利については、1995年に0.5%になって以降は、ずっと0%台が続いており、その当時から今で政府債務残高は3倍近くになっており、「本当に利上げできるのかな」「利上げしないにしても、国債買入停止しての金利上昇に耐えられるのかな」というのは個人的には割と心配しており、これができないとなると、いよいよ本格的にまずい円安が起こるのでは・・・・と危惧しています。
これが20年くらい前だったら、「円安になれば輸出大国の日本が輸出攻勢を仕掛けてくるから各国も政治的に許容不可能」ということもありえたのですが、今となっては日本の輸出力は大きく減少し、むしろ輸入の円安リスクの方が大きいという状態になっていることから、そういう「大丈夫な要因」が一つ消えているのも懸念点と思っています。
それでも無理して引き締めした場合は、じゃあ利払い費をどう確保するのかという問題も出てきて、それで増税ができるのかという話にもつながってくるので、実は今年は日本にとってもかなりの正念場なんじゃないかと個人的には見ています。
ちなみにこういう風に「分からない」と書くと「はっきりしろや」と思われそうですが、実はこれについては「分かるはずがないし、断定は無理」というのが答えで、というのも最終的に重要なのは「市場が日本国債や、日本円を信頼するかどうか」という点に尽きて、それについては色々な材料を総合判断しての相場心理なので、「●●だから大丈夫」とも「●●だからダメ」とも断定はできるはずがなく、こういう風に「危ないと思うけど大丈夫かな」くらいまでしか言いようがないというのが限度だと思われます。
なので、クロス円については、基本的には戻り売り戦略で見ているものの、「日銀には何もできない」ということになると急激に円安が進むリスクもあり、「トレードでは当面戻り売り、資産運用としては分散投資」を心掛けたいと考えています。
今後の市場全体の見通しと投資戦略
それでは、今後の投資戦略を書いていきたいと思います。
結論としては、上でも書いたように
という感じで見ています。
はじめのクロス円については、
といった傾向を踏まえると、今この瞬間は踏み上げモードで上がっているものの、5月くらいまでは戻り売り目線で見た方が良いかなと見ています。
次の豪ドル/NZドルについては、豪とNZのどちらも利上げ停止が近づいてきたものの、今の政策金利差は1.65%と非常に大きく、また豪ドル/NZドルという通貨は、1.1までの上昇後に下落トレンドに入ると、高確率で1.05までは落ちるという傾向もあり、その点から、少なくとも1.05までは売り目線を継続しようと考えています。
【豪ドル/NZドル 週足チャート】

今朝のNZのCPIが予想外に低かったことで今は上昇モードに入り、このチャートを見てもちょうど下落トレンドラインが今の1.09辺りで、また豪ドル/NZドルのトレンド転換の目安である「安値からの300pips上」とも近いので、今まさにここが正念場という感じですが、ただ長期で見た時に今の1.09辺りは十分高値圏&豪も利上げ停止間近なことを考えると、このまま一方的に上昇していく展開はあまり考えづらいかなと今のところは思っています。
最後のユーロズロチについては、上で書いたようにユーロがまだ利上げ傾向にあり、スワップポイントはもう少し下がる可能性が高いと思いますが、結局「急上昇後に下がる」という傾向は全然変わっていないので、その点で狙い撃ち戦略は今でも有効だと思っています。
【ユーロズロチ 日足チャート】

【ユーロズロチ 週足チャート】

それ以外で言うと、利上げ停止の中で今後どういった業種が盛り上がるか、また一旦は収束したものの、それでもこれまでの利上げでバランスシートが痛んだ銀行は多い中で、今後どうなっていくのかといった辺りもあり、個別企業であったり業種であったりでも明確に浮き沈みが出てくるはずで、その辺りも狙っていけたらと思っています。(今時点では具体的な企業や業種についてはノーアイディアです)
このように、今の相場としては去年までと流れが明らかに変わってきており、特に「各国の利上げ停止でどうなるか」という点で、様々な資産に投資チャンスが出てきそうで、このように色々な投資チャンスが出てくる中では、IG証券は絶対に持っておいた方が良い口座と言えます。
IG証券は
という会社です。
IG証券のCFDだと、ダウ等の株価指数や金・原油と言った商品、さらには個別株式銘柄についても、売りから入ったり、レバレッジをかけての投資も可能です。
また今のように「いきなり状況が変わって逆行することもありうる」という時は、損切が非常に重要ですが、その点だとはじめに指定したノックアウト価格で必ず損切されるというノックアウトオプションが輝きます。
ノックアウトオプションというのは、
と、守りを固めた上で大きなロットを運用できる商品で、海外業者と違って出金リスクもなく税率も20.315%という特徴があり、こういう「何かが起こるかもしれないが、基本的にはこの方針でトレードする」みたいな状況では最適です。
ノックアウトオプションだと、窓開けが起きても、またスイスショックのようなとんでもない事態や、為替介入等があっても、最初に設定したノックアウト価格では必ず損切されるので、相場急変リスクを抑えてトレードができます。
今のようにいきなり変なことが起こるリスクがある環境で大きめのロットで短期トレードをするなら、リスクをどう抑えるかというのが重要なポイントになりますが、その点でノックアウトオプションを使えば、命綱付きでトレードができるので非常に重宝します。
こうした点からIG証券は今のような環境では是非持っておきたい口座と言えるので、まだ持ってない方は是非この機会にどうぞ!
なおこのIG証券については、期間限定・先着600名限定で最大5万円キャッシュバックを貰えるキャンペーンをやっており、まだ口座を持ってない人にとっては大チャンスです。
この先着限定キャンペーン、以前は先着150名だったのが、あまりに人気だからなのか300名→600名と徐々に枠が増えて、さらに最大5万円のうち
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